面白かった!鳥類のナビゲーションシステムの論文などはよく読んでいるが、人間を含む他の生きものにはそこまで気にしていなかったので、とても読み応えがあった。総論的にとてもわかりやすく、とてもリラックスして気楽に読めるのがとても良いと思う。Royal Institute of Navigation(ナビ学会)の動画で、本書についてとてもわかりやすくざっくりまとめて本人が話してくれているので(20分弱)、読了後でも読む前でも観ると分かり味が深くなるかと思う。おすすめ。 バクテリアから鯨まで、生き物のナビゲーションシステムについて、視覚、嗅覚、磁気。ミツバチ、アリ, フンコロガシ, モナーク、鳥類、爬虫類、哺乳類、クジラ。研究の手法や、研究中のエピソードなども面白い。磁気コンパスの自差、Micronesianのスターコンパス dead reckoning、ジメチルスルフィド(DMS),ムクドリ、ヨシキリ,ミヤマシトド、ノロジカ、ウミガメ、ザトウクジラ、ゾウアザラシ、ウナギ、ラボ実験。 もちろん、既知の話も多いが、図なども効果的で分かりやすい。ミツバチやサバクアリなんかはよく知られているが、ガが面白い。まず、ガンマキンウワバとかボゴングガとか見ても、実物がわからないので、実験手法とかもピンとこず、ちまちまとネトや図鑑で調べるのも楽しかった。ミクロネシアンのコンパスシステムももうすこし詳しいものを読んでみたい。
https://www.davidbarrieauthor.org/
INCREDIBLE JOURNEYS Exploring the Wonders of Animal Navigation by David Barrie 2019
Birds and Us A 12000-Year History, from Cave art to Conservation by Tim Birkhead 鳥類と私たち人間 洞窟壁画からコンサベーションに至るまでの1万2千年の歴史 大変面白かった。副題にある通り、新石器時代の洞窟壁画に描かれた鳥類から、当時の人間と鳥類の関係を考察するところから始まり、各所各時代の有名な鳥類の考古学的遺物から芸術作品など網羅していく。エジプトのネプアメンの墓の壁画に描かれた「湿地での狩猟」(紀元前1350年頃)は私もものすごく好きなピース
https://flic.kr/p/L1tB7K 大英博物館で展示されている。 Nebamun hunting in the marshes, fragment of a scene from the tomb-chapel of Nebamun. Thebes, Egypt. Late 18th Dynasty, around 1350 BC
人類と鳥類との関わり合いの歴史というのは、最近日本でも書籍が出版されていて結構ホットなトピックで、それこそどっさりとネタのあるエリア。スペイン南部 Cueva del Tajo de las Figuras、400万体のAfrican sacred ibisのミイラ、アリストテレス、プルタルコス、プリニウス、ローマ人の野鳥料理、フラミンゴの舌料理、イングランドの鷹狩、ルネサンスの時代の解剖学的研究の発展、フランシス・ウィラビー、ジョン・レイ、1500年代有害鳥獣の指定と駆除、鳥の薬効、ターナーの鳥の絵、『ウィラビーの鳥類学』のドードー、メキシコのアステカ族、ブラジルのトゥピ族などヨーロッパを含む世界中の先住民族にとっての鳥とその羽の文化、フェロー諸島の海鳥を食べる暮らし、セルボーンの博物誌、ダーウィンと鳥類学、ジェマイマ・ブラックバーン、ジョン・グールド、アラン・ヒューム、剥製ブーム、ブリューゲル「味覚の寓意」、コレクター、コレクターの収集活動と絶滅、収集欲と問われるモラル、博物館の存在意義、バードウォッチング、エドマンド・セルース、アマチュア鳥類学者の誕生、オスカー・ハインロートとマグダレーナ、セルース、ハワード、Jハクスリー、ハインロート夫妻、コンラート・ローレンツ、ニコ・ティンバーゲン、カール・フォン・フリッシュ、デイヴィッド・ラック、ウィン・エドワーズ、デイヴィッド・アッテンボロー。 人類による大量絶滅。